長期優良住宅ってどんな家?分かりやすく解説!メリット・デメリットまとめました。
今回のテーマは「長期優良住宅」。
長期優良住宅ってそもそもどんな家?
長期優良住宅にしたら何かいいことあるの?
そんな疑問を解決するためにまとめてみました!
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目次
- 長期優良住宅ってどんな家?
- 認定を受けるための基準 - 認定の申請方法
- 長期優良住宅のメリット
- メリット①住宅ローン減税
- メリット②登録免許税
- メリット③不動産取得税
- メリット④固定資産税
- メリット⑤住宅ローン金利
- メリット⑥地域型住宅グリーン化事業
- メリット⑦住宅取得等資金贈与
- メリット⑧地震保険 - 長期優良住宅のデメリット
- デメリット①建築コストが高い
- デメリット②申請にコストがかかる
- デメリット③メンテナンスが必要 - まとめ
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長期優良住宅ってどんな家?
『長期優良住宅』
名前のニュアンスからなんとなくその意味が読み取れるのでは?
簡単に説明すると、その名の通り、家の劣化を最小限に抑える設備や性能を備え、
長く快適に住み続けられる家のことです。
この認定制度は平成21年6月4日から始まっています。
全国で見ると年間10万戸以上の新築住宅が長期優良住宅の認定を受けているようです。
長期優良住宅の認定をもらうためにはいくつか条件があるので確認していきましょう!
認定を受けるための基準
基準は大きく見て4つ。
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①長期にわたって使用するための構造・設備を有していること
②居住環境への配慮が行われていること
③一定面積以上の住戸面積を有していること
④維持保全の方法・期間がきちんと決められていること
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それぞれ細かい基準が定められています。
詳細を見ると9つに分類されるので1つずつ見ていきましょう!
※増改築の場合は認定基準が異なります。
今回は新築の基準を紹介します。
1 劣化対策
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
→構造躯体とは建物の構造だと思ってください。
数世代とありますが一体どれくらいかというと、なんと100年です!
100年住み続けられる構造で建築されていなければならないということですね。
<住宅性能評価>
劣化対策等級3相当
構造の種類(木造や鉄骨造など)によってさらに細かい基準があります。
2 耐震性
極めてまれに発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、
損傷のレベルの低減を図る。
→”極めてまれ”とは100年に1度レベルの大地震を指します。
つまり、大地震の被害に合っても最低限の損傷に留め、
改修工事を行えば住み続けられる家であることです。
<住宅性能評価>
耐震等級(倒壊等防止)2
3 維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備の維持管理がしやすいこと。
→これは給水・排水管の清掃・点検・補修・更新が行いやすいように、
管がコンクリートや地中に埋められていないか、
たわみや抜けがないかなどを見られます。
<住宅性能評価>
維持管理対策等級(専用配管・共用配管)3
更新対策等級(共用排水管)3
4 省エネルギ―対策
必要な断熱性能、断熱等性能等級4(新築住宅)の省エネルギー性能が
確保されていること。
→断熱等性能等級4は「次世代省エネ基準」とも言われています。
壁や天井はもちろん、窓や玄関ドアにも断熱が必要です。
結露の防止対策も施されていないといけません。
<住宅性能評価>
断熱等性能等級4
5 居住環境
地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の
区域内にある場合には、これらの内容と調和を図る。
→建物の色彩やデザイン、屋外の緑化などまちなみの景観を維持したり、
より良くするために決められたそれぞれの地域の基準や計画を邪魔しない建物に
しなければなりません。
6 住戸面積
床面積の合計が75㎡以上、少なくとも1階の床面積が40㎡以上(階段除く)ないと
いけません。地域によっては所管行政庁が別に基準を定めている場合があるので、
その場合はその要件に従いましょう。
7 維持保全計画
建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
→以下の部分や設備について定期的な点検・補修が必要です。
・住宅の構造耐力上主要な部分
・住宅の雨水の侵入を防止する部分
・住宅に設ける給水、排水のための設備
認定の申請方法
長期優良住宅の申請は基本的に建築会社が行います。
自分でできない訳ではないのですが、資料作成や手続きにかなりの時間を取られます。
また着工前に申請が下りておく必要があるので、施工スケジュールを管理していくうえで申請に遅れがあってはいけないので、建築会社がやるのが一般的です。
※着工してしまうと申請できないので注意!長期優良住宅を希望する場合は契約前に話をしておきましょう。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅と認定されると受けられる優遇措置がいくつかあります!
1つずつ見ていきましょう♪
メリット①住宅ローン減税
1. 住宅ローン減税の控除対象限度額
4,000万円→5,000万円に引き上げ
つまり最大455万円の控除を受けられる可能性が!
※実際に控除を受けられる額は納めている所得税や住民税によって変わります。
2. 所得税(投資型減税)
長期優良住宅の認定を受けるためにかかった費用(上限650万円)の10%をその年の所得税から控除されます。ちなみに長期優良住宅にするためにかかった費用のことを「掛かり増し費用」と言います。
住宅ローンを利用して住宅を取得した場合は、1か2どちらかを選ぶことができます。
住宅ローンを利用せず現金で住宅を取得した場合は2のみ適用できます。
住宅ローンを利用していない人でも優遇措置を受けられるのが長期優良住宅のメリットの1つでもあるんです♪
メリット②登録免許税
法務局で登記をする時にかかる登記費用の税率が引き下げられます。
・保存登記 0.15% → 0.1%
・移転登記 一戸建て 0.3% → 0.2%
この税率軽減の措置を受けるためにはいくつか条件があるので確認しておきましょう。
メリット③不動産取得税
不動産取得税とは土地や建物を購入した時に1度だけ支払う義務のある税金です。
一般住宅の場合は1,200万円の控除のところ、長期優良住宅であれば1,300万円の控除が受けられます。
メリット④固定資産税
一般住宅は3年間固定資産税が2分の1まで減税されますが、長期優良住宅は5年間2分の1になる減税措置を受けられます。
メリット⑤住宅ローン金利
フラット35を利用する場合、長期優良住宅であれば「フラット35S」を利用することができます。このサービスを利用できればフラット35の金利から5年もしくは10年間の金利が引き下げられます。通常のフラット35よりも返済の負担が軽くなるうえ、固定金利だと安心感もありますよね。
メリット⑥地域型住宅グリーン化事業
長期優良住宅は「地域型住宅グリーン事業」の補助金を受けられます。
この「地域型住宅グリーン事業」とは、国土交通省から選ばれた中小工務店で省エネ性などに優れた家を建てると補助金が貰える制度です。
補助金の額は、建築費用の10分の1以内かつ1戸当たり110万円を上限に交付されます。
メリット⑦住宅取得等資金贈与
住宅を購入する際に親などから資金の援助があった場合、その資金にかかる税金に優遇措置が受けられます。
一般住宅では500万円までが非課税ですが、長期優良住宅は1,000万円までが非課税となります。長期優良住宅は多くの贈与を受けやすいってことですね。
2023年12月31日までの契約が対象です。
メリット⑧地震保険
地震保険とは地震や噴火などの災害で受けた被害を補償する保険です。地震保険に加入するには火災保険に加入しておく必要があります。地震保険だけの加入はできないのです。長期優良住宅は地震保険料の割引を受けられます。割引制度は4種類ありますが、1つだけの適用となります。どれが最適かはよく考えて決めましょう。
耐震等級割引は耐震等級の等級レベルによって異なりますが10%~50%、免震建築物割引は50%の割引となります。
これはかなり大きいですよね!
長期優良住宅のデメリット
色々な優遇措置がありメリットの多い長期優良住宅ですが、デメリットはどんなものがあるのか見ていきましょう。
デメリット①建築コストが高い
標準で既に長期優良住宅を建てられる大手メーカーや工務店も多くありますが、長期優良住宅の認定を受けるために基準をクリアすべく仕様をグレードアップさせないといけない場合もあります。そうなると建築コストは高くなり工期も長くなる可能性があるんです。
この点は契約前に建築会社に確認しておきましょう!
デメリット②申請にコストがかかる
長期優良住宅の申請には費用がかかります。
自分で行うと費用は安く済みますが書類の準備などかなり手間がかかるので、
建築会社に代行してもらうのが一般的ですが、書類作成や認定にかかる手数料等で20~30万円程かかります。メリットは大きいですが、費用を見ると結構かかりますよね。
デメリット③メンテナンスが必要
長期優良住宅は100年住み続けられるというだけあって、良好な状態を維持するための定期的な点検が必要です。建築前に「維持保全計画」というものを建築会社が提出するのですが、その内容に沿って定期点検や修繕を行っていきます。点検は10年に1度行います。点検の記録はきちんと保管しておく義務もあるので、点検を怠ると認定取り消しの可能性もでてくるので注意です。
まとめ
長期優良住宅を選択する大前提は、長く安心して暮らせる家にすることです。
色々なメリットを紹介しましたがそれなりに申請にかかる費用や管理も必要になってくるので、「税金が安くなるから」などの理由では選ばない方がおすすめです。
メリット・デメリットを踏まえてお家づくりの参考になれば幸いです。