残債があってもマンション売却はできる?利用できるローンを紹介
- 残債がある場合のマンション売却
- アンダーローンの場合
- オーバーローンの場合
- オーバーローンの場合に便利な「買い替えローン」
- 買い替えローンのメリット
- 買い替えローンのデメリット
- 買い替えローンの審査手順
- 買い替えローンの返済計画の立て方
- 任意売却が必要になるケース
- まずはマンションの売却価格を確認しよう
残債がある場合のマンション売却
マンション売却する際、住宅ローンの残債があるケースがほとんどです。それは住宅ローンを何十年もかけて完済してから売るケースよりも、環境の変化で拠点を変えるなどの理由でやむを得ず売却するケースが多いためです。完済すると、いよいよローンの支払いに縛られずに住み続けられるため、事情がない限りは売却しない人が多いでしょう。
しかし、そもそもですが、残債がある状態のマンション売却はできるのでしょうか。住宅ローンの残債があってもマンション売却は可能です。
注目するべきなのは残債が売却利益を上回るか下回るか、という点です。残債が売却利益を下回ることを「アンダーローン」、上回ることを「オーバーローン」と呼びます。アンダーローンかオーバーローンかで、売却の進め方が大きく変わります。
アンダーローンの場合
売却利益がマンションの残債を上回る「アンダーローン」の場合、売却利益を残債の支払いに充てるのが一般的です。この場合、マンションを引き渡すタイミングで残りの住宅ローンを一括返済します。住宅ローンが完済できたら不動産の名義変更をするための抵当権の抹消がスムーズにできるようになります。
マンション売却をよりスムーズに行うためにも、なるべく住宅ローンの残債を一括返済できるような売り上げを出すことを意識するようにしましょう。
オーバーローンの場合
対して、思ったように売却利益が出ず、残債を下回ってしまった「オーバーローン」の場合にはどうしたら良いのでしょうか。残債を売却利益では支払いきれなかった場合、差額は自己資金で賄う必要があります。例えば、残債が1,500万円なのに対して売却利益が1,200万円だったとします。この場合、差額の300万円は自己資金でやりくりして算出しなければ、抵当権の抹消ができません。差額は分割払いができないため、資金計画をきっちりと立てるようにしましょう。
オーバーローンの場合に便利な「買い替えローン」
マンション売却をし、再度自宅を購入する「住み替え」の場合であれば、売却利益でまかないきれなかった残債の差額があったとしてもマンション売却は可能です。住み替えの場合に、差額があってもマンション売却ができる理由は、新居を購入する際に組む住宅ローンに差額を合算してローンが組める「買い替えローン」の利用が可能だからです。
買い替えローンを利用することにより、今までよりも金利が下がったり、マンション売却で損害が出た際にも居住用財産の特例の条件に合えば、所得税や住民税が減税されたりする場合もあります。買い替えローンは一般的に審査が厳しく、利用できる人が限られているものの、利用できればありがたい面が多くあります。買い替えローンのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
買い替えローンのメリット
買い替えローンの最大のメリットは、自己資金がなくてもマンション売却ができる点です。通常、残債を売却利益で支払いきれなかった場合には、自己資金でなんとか差額を算出する必要があります。しかし買い替えローンを利用すれば、自己資産が用意できなかったとしてもマンション売却ができるので、売却利益が残債を上回らなくても問題ありません。
買い替えローンのデメリット
それに対し、買い替えローンのデメリットは、マンション売却に時間のゆとりが持てなくなる点です。その理由は、買い替えローンを利用するためにはマンション売却の日程と購入の日程が同日であることが条件となるためです。どちらかが先行していては買い替えローンを組むことはできません。そのため、スケジュール調整が難しくなることは覚悟する必要があります。
さらに、買い替えローンは残債用と新規の住宅ローンの2つのローンを組むことになります。そのため、返済スケジュールを厳しめに引いてしまうと毎月の返済額が大きくなってしまい、結果的に家計を圧迫してしまう恐れがあります。買い替えローンは、ひとつのローンに見えるものの中では残債と住宅ローンの二重負債となります。不動産売却をして住宅ローンの完済をするのが難しくなるので、十分に注意しましょう。
買い替えローンの審査手順
買い替えローンを利用する際の審査はどのような手順を踏む必要があるのでしょうか。買い替えローンの審査の流れを紹介します。
- 住宅ローンの残債とマンション売却価格を把握する
- 金融機関に相談する
- 販売活動と物件探しを開始する
- 売却と購入双方の売買契約を締結する
- 決済と引渡し
住宅ローンの残債は毎年10月から11月ごろに金融機関から郵送されてくる残高証明書にて確認ができます。また、売却価格は、不動産会社にて売却査定をしてもらうことで、事前にいくらくらいでマンション売却ができそうかを予想することができます。
買い替えローンを組む際、注意が必要なのは決済と引き渡しのタイミングです。買い替えローンを組む際には、不動産を購入が必要です。購入する物件と売却する物件の引き渡し日は同日でなければいけないので、スケジュール調整は徹底して行いましょう。
買い替えローンの返済計画の立て方
買い替えローンを組む際の返済プランを考える際には2つの注意点があります。
1つ目の注意点は返済期間をなるべく短くするという点です。不動産を初めて購入するのは20代から30代の方が多いです。しかし、マンション売却をして買い替えローンを組むのは40代から50代の方が多いです。そのため、買い替えローンを組む際、初めて住宅ローンを組んだときのように30年ローンを組んでしまうと、老後の家計を圧迫してしまう可能性があります。返済はなるべく短期間で済むようにしましょう。
さらに、毎月の返済額もなるべく低く抑えることが重要です。返済額が大きすぎると家計を圧迫したり、老後に負担がかかったりしてしまいます。
任意売却が必要になるケース
マンション売却をする際、あまりにも残債が多い場合には自己判断で売却できないケースがあります。この場合には、金融機関にマンション売却の承認を得て行う任意売却を視野に入れる必要があります。
任意売却とは、抵当権を持っている金融機関の承諾を得た上で行うマンション売却で、基本的に売却利益は全て残債の返済に充てることが条件です。似ている制度で、競売にまでなってしまうと、買い替えローンどころの騒ぎではなく、最悪の場合自己破産が必要になるケースもあります。残債が支払いきれなくなりそうだと思ったら、素早く金融機関へ相談することをおすすめします。
まずはマンションの売却価格を確認しよう
残債の有無に関わらず、マンション売却をする際には売却査定をして自分のマンションがどれほどの価格で売れそうなのかを知っておく必要があります。どれほどの価格で売りたいのか、売れそうなのかを知っているだけでも、マンション売却をする上で重要な資金計画が立てやすくなります。
適切な不動産会社を選ぶために重要な売却査定は、必ず複数の不動産会社に依頼をしましょう。