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高層と低層、マンションに住むならどちらを選ぶべき?

高層と低層、マンションに住むならどちらを選ぶべき?

 

 

マイホームとしてマンションを選んだ場合、立地や間取りも大切ですが“住む階層”も重要なポイントです。
最近では窓からの眺望が楽しめる高層マンションが注目されがちではありますが、一戸建て感覚で住むことも可能な低層マンションも根強い人気があることも事実でしょう。似たようなエリアであっても住み心地や住環境は階層によってがらりと変わるため、悩ましい選択肢になることは間違いありません。

人によって希望は様々なため、どちらが良いと言い切ってしまうのは難しいですが、その判断材料として双方の特徴を知っておくことは必要なことでしょう。そこで、今回はマンションの購入を検討している方向けに、高層マンションと低層マンションに住んだメリットとデメリットについてご紹介します。

高層と低層、マンションに住むならどちらを選ぶべき?2

 

《高層マンションと低層マンションの定義》

 

高層マンション、低層マンションとは言いますが、実は明確な定義はありません。
しかし一般的には、5階建て以下のものを低層マンション、6階建て以上のものを高層マンションと言い、その中でも20階建て以上のものをタワーマンションと呼ぶことが多くなっています。
建築基準法によって31m以上の建物はエレベーターの設置義務があり、その“31m”がおよそ6階建てに相当することから、それ以下のものを低層マンション、それ以上のものを高層マンションと区分するようになった、と考えられています。
場合によっては4~6階建てのものを中層マンションと呼ぶこともあるようですが、もちろんこちらもはっきりとした区分はないようです。

また、都市計画法における“用途地域”によって建築可能な建物の高さや種類が制限されているため、これで判断する方法もあります。例えば第一種もしくは第二種の低層住居専用地域は、都市計画上は一戸建て中心の住宅街であるため、高層マンションを建設することは認められていません。そのため、このエリアのマンションであれば低層マンションになるでしょう。
一方、駅周辺などの市街地の中心部は商業地域であり、多くのビルや商業施設が建設されています。建ぺい率や容積率は他の用途地域に比べて高めに設定されているため、高層マンションやタワーマンションを建てることも可能なのです。

 

《住みやすいマンションとはどういったもの?》

 

そもそも、マンションの住みやすさを考えた時の“住みやすさ”とはどのようなものでしょうか。 一戸建てなどの住みやすさとも比較した上で考えてみましょう。

 

■一戸建てとの違い

一戸建ての大きな特徴として、「1つの建物に一世帯のみが住んでいる」ことが挙げられます。中には二世帯住宅や三世帯住宅も存在していますが、家族であることには変わりありません。
基本的に建物も土地もすべて住民が所有しており、マンションのように壁や床、天井を隔てて隣り合わせということがないため、音のトラブルも少なくプライバシー面が守られやすい傾向が見られます。敷地内に駐車場があれば別途駐車場代を支払う必要もありませんし、管理規約のような制限もないためペットの飼育や庭でのガーデニングなども可能です。

しかし、一戸建ては駅周辺からやや離れた住宅街に建てられ、移動には車やバスが必須であることもめずらしくはありません。駅周辺に建てられることもありますが、その大半は高額であり、コンパクトサイズな住宅のものが多いようです。
低層マンションも住宅街に建てられることは少なくないため、一戸建てと同じ条件の場合もあるものの、それ以外は駅の近くなど比較的利便性の高い立地に建てられるケースがほとんどとなっています。

一戸建てと比較した際のマンションの最大の特徴は「建物の管理がされていること」になります。
エントランスや廊下といった共用部分の清掃から、エレベーターや照明などの設備点検、定期的な修繕工事までが管理会社によって行われているため、これらに気を配る必要がありません。
また、防犯カメラやオートロックの設置などがされているマンションも多く、その防犯性の高さは一戸建て以上でしょう。

 

■物理面から見た住みやすさ

上述した通り、マンションは立地の良い場所に建てられることがほとんどです。
建てられる場所は大半が駅の近くであり、移動にバスや車を必要としません。商業地区に建てられることも少なくないため、必要なもののすべてをマンション周辺で揃えることも可能でしょう。駅からは少し離れている場合でも、同じ建物内もしくは敷地内にコンビニやスーパーが入っていることも多いので、生活に困ることがありません。
実際、マンションをマイホームに選択する方は総じて、この「立地」を優先する傾向がみられるようです。通勤や通学の便利さ、生活のしやすさを最重視する方にとっては、立地の良いマンションというものは非常に魅力的なのでしょう。

このように利便性に優れたマンションは、資産価値が高いというメリットも存在しています。
資産価値は売却価格にも大きな影響を与えるため、将来的に売却を考えた際、購入希望者が同じように“立地を最重視”しているのであれば、良い値段で売却することも不可能ではないでしょう。

住みやすいマンションとはどういったもの?

 

 

■精神面から見た住みやすさ

一戸建てを選択する方の多くは、自分たちのプライバシーを確保することを優先したいと考える方が多いようです。確かにマンションは共同住宅ですので、いくら分厚いコンクリートで区切られていようとも、「1つの建物に多くの世帯が住んでいる」ことには変わりありません。玄関を出たら共同廊下であり、他の住民とすれ違う確率も高くなっています。一戸建てでも当然このような状況はあるものの、マンションと比較すればその差は歴然です。中には、自分たちや周囲の住民が出す生活音が気になる、という方もいらっしゃいます。
その上、マンションは建物の管理維持のために管理組合に加入することが義務付けられいる分、住民同士の付き合いが強く求められてしまうのはある意味仕方のないことなのかもしれません。

この場合、近隣住民と友好的な関係が結べれば暮らしやすい環境になりますが、そうでない場合は距離が近い分、住みにくい環境になってしまう可能性があるのです。ただしこれは一戸建てのケースでもあり得るため、マンションならではのデメリットとは言えません。

 

《低層マンションに住むメリットとデメリット》

 

マンションの住みやすさが把握できたところで、次は低層マンションに住む場合のメリットとデメリットを見てみましょう。
なおここでの低層マンションは、低層階という意味ではなく“5階建て以下のマンション”を指しています。

 

■低層マンションのメリット

低層マンションはその多くが“住居専用地域”に建てられています。上述した通り、この地域は良好な住環境教を保護するため、建築可能な高さの制限が厳しく定められています。このうち“第一種低層住居専用地域”もしくは“第一種低層住居専用地域”では高さ制限があるため、周囲に高い建物が建つ心配はほとんどありません。
この地域は基本的に一戸建てが多い住宅街になりますので、マンションでありながらも一戸建てのような感覚で住むことが可能です。もちろんマンションにもよりますが、このような住宅街に建てられている低層マンションの多くは住環境を優先して、高級感あふれるゆったりとした雰囲気のマンションも少なくないようです。

また、低層ということはマンションでありがちな「エレベーター待ち」が少ないということ。総戸数が少ないため利用者も限られますので、エレベーターが混み合うこともありませんし、状況によっては階段を利用して移動することもそれほど苦ではないでしょう。地震などといった災害時にも容易に非難することが可能ですので安心できるというのもメリットになります。

 

低層マンションに住むメリットとデメリット

 

 

■低層マンションのデメリット

マンションに住む理由として大きい「立地の良さ」ではありますが、2~3階建て程度の小さめの低層マンションではこのメリットが得られないケースも考えられます。中でも、第一種低層住居専用地域は駅からやや離れたエリアであることがほとんどであるほか、そもそもこの地域には大型のスーパーなどといった大型の店舗を建てることは基本的に認められていません。例外としてコンビニなどの小規模なものは認められるようですが、マンション住まいの最大のメリットである「通学通勤、買い物に困らない生活」を享受することは難しいかもしれないのです。
低層マンションは小規模であり総住戸数が少ないため、共用施設や管理体制がそれほど充実していない、管理費が割高になりやすい、大規模修繕工事の費用負担が大きくなりやすいというデメリットもあるでしょう。

さらにメリットで「一戸建てのような感覚で住むことが可能」とはお伝えしましたが、これは逆を返してしまえば一戸建てでよくあるデメリットも存在しているということです。道路や外部からの騒音や視線が気になりやすい、部屋に虫が入りやすいなどが低層マンションのデメリットに含まれます。

 

《高層マンションに住むメリットとデメリット》

 

では次に、高層マンションに住んだ場合のメリットとデメリットを見てみましょう。

 

■高層マンションのメリット

駅や大型商業施設直結など、マンションに住むという利点を最大限に得られるのが高層マンションのメリットになります。大規模マンションやタワーマンションなどは総住戸数も多いですから、たとえ駅からやや離れていたとしても1階にはマンションの住民のために、コンビニやスーパーなどが入っていることもめずらしくはありません。
また、共有施設やサービスが充実していることもメリットと言えるでしょう。コンシェルジュサービスや住民のみが利用可能なシアタールームやラウンジ、ゲストルームがあるマンションも増えています。

また、高層マンションと言えば「眺望の良さ」は魅力のひとつと言っても過言ではありません。高層階になればなるほど高価格帯になりがちではあるものの、眺望の良い高層階から売れやすいという傾向もみられるほどです。
高層階になるほど日当たりや風通しも良く、道路などの騒音や外部からの視線などといったプライバシー面の心配がないのもメリットでしょう。

 

■高層マンションのデメリット

高層マンションの生活は“エレベーター頼り”になります。総住戸数が多いマンションほど朝の通勤時間帯にエレベーターが混雑し、下に降りることが出来ないという状態になるのです。これは高層階になればなるほど待ち時間は増加するため、そのストレスは大きなものになってしまいます。
それでもまだエレベーター動いているのなら、いつかは乗ることもできるでしょう。しかし災害や事故があった場合は、安全が確認できるまでは停止するため階段を利用しなくてはなりません。こちらも高層階のほうが負担は非常に大きくなります。
その上、高層階は地震などの被害が大きくなりやすく、小さな地震であろうとも長周期地振動により揺れが長く続く傾向が見られます。風も強いことが多いため窓を開けられない状況もあるでしょうし、この風による揺れが発生することも否定できません。

共有施設やサービスが充実している点をメリットとして挙げましたが、これも反転すれば「維持管理費が高額になる」ということでもあります。施設やサービスが充実しているほどかかる費用が高額になるのは当然のことでしょう。
さらに、高層である故に大規模修繕のための修繕積立金も高額になるケースがほとんどになります。
それでも修繕工事が行えればまだよいほうかもしれません。総住戸数が多いと合意形成が難しくなり、修繕計画そのものの実行に問題が生じる可能性も秘めているのです。

 

《どちらがより理想に近いかが最重要》

 

ひとくちに“マンション”とは言っても、低層マンションか高層マンションかで雰囲気も環境も大きく異なります。そのため、マンションを選ぶ際には「マイホームに何を求めるか」を前提に、家族構成や仕事などライフスタイルを考慮しなくてはなりません。

例えば、静かな環境で落ち着いた暮らしを望むのであれば低層マンションが、利便性の良さを最重視したいのならば高層マンションがおすすめになります。その上で、眺望の良さや日当たり状況、災害時の安全性などを考慮した上で、理想のマンションを探し出しましょう。

どちらがより理想に近いかが最重要