マイホームを購入する季節の「ベストタイミング」があることをご存知でしょうか。
不動産の売買は通常の買い物のように頻繁に行うものではありませんから、おそらく「家を買うのに良いタイミングなんて存在するの?」などと思われるかもしれません。もちろん、家庭ごとに引っ越す理由はそれぞれありますので、それに合わせて購入を決めるということは間違いではないでしょう。
しかし1年を通して見てみると、他の季節と比べてお得に買える可能性が高い時期は確かに存在しているのです。
そこで今回は、少しでもお得にマイホームを購入したい方におすすめなベストタイミングをご紹介します。
《物件購入を検討する人が増える時期》
日本において、新年度が始まるのは“4月”です。
新社会人だけでなく転勤や転職などで新しい環境になるのも、小学生から大学生、幼稚園なども進級・進学するのも大半がこの4月になります。そのため、引っ越しをするのであれば新年度が始まる前にすべて済ませたい、と考えるのは当然のことです。
特に“マイホーム”として新築マンションや新築一戸建てを購入するのは、小さな子供がいるファミリー層が中心なのも事実。子供のために「新学期までに引っ越しを済ませたい」という考えを強く持っていることがほとんどになります。
そのため物件の注目度と需要は、新年度の4月より前のにあたる“1~3月末までがピーク”であるといえるのです。
《新築物件を購入するタイミングは?》
新築マンションも新築一戸建ても、基本的に売主はその物件を作った不動産デベロッパー(土地開発業者)であり、大半の会社が直接売買を行います。売買は行うものの、このような事業は物件が完成(竣工)して購入者に引き渡しを行うまで売り上げは確定しません。つまり、建てて完成しただけでは収入は入ってこないのです。それを手早く進めるため、完成前の早い段階から可能な限り売買契約を進めておき、竣工と同時に引き渡すことで利益を確定させたいと考えているのです。
そして、デベロッパー側も物件購入を検討する人が増える時期を理解しているため、1~3月に完成する物件がとても多くなっています。上述した理由で完成する前から契約を進めているため、人気の高いエリアの場合は販売開始した直後に完売してしまうこともありますが、中には完成後にまだ購入者が決まっていない可能性もゼロではありません。このような完成後の売れ残りの物件が見つかったら狙い目になります。
不動産会社を含めた企業は、1年に1度(もしくは半年に1度)その期間の収支を計算し、利益と損失を計算する“決算期”があり、大手の不動産会社の大半は3月決算なのです。1~3月はこの決算に向けて売り上げをさらに伸ばそうとする、ちょうど追い込みをかける時期にもあたります。
つまり、新築物件を建てた多くの不動産会社が、「可能な限り決算期の3月末までに売り切りたい」と考えているのです。
そのため、ある程度の値引き交渉に応じてもらえたり、何かしらのオプションなどを付けてくれることもあったりと、お得に購入できるタイミングといっても間違いありません。
なお、物件の購入申し込みから引き渡しまで1ヵ月程度かかることが一般的なため、新築物件の購入のベストタイミングは「1~2月」となります。
■売れ残り物件はそれなりの問題があるのでは?
中には「売れ残り物件は問題を抱えているのでは?」と購入に不安を感じるかもしれません。
もちろん立地や間取りなどに問題があるケースもあるでしょう。とはいえ、すべての売れ残り物件には問題が必ずある、というわけではありません。
購入希望者はいたものの、その人の住宅ローンの審査が通らなかった結果、キャンセルとなって売れ残ってしまった、という物件も実は少なくないのです。このような物件は実際の内見も可能でしょうから、まずは内見を行ったり、担当者に話を聞いてから判断しましょう。
《中古物件を購入するタイミングは?》
物件数が多く、即入居できる物件もめずらしくないのが中古物件の魅力でしょう。
この魅力を最大限に生かすのであれば、新築と同じく1~2月がベストタイミングになります。
上述した通り新年度の4月にあわせて住みかえをするケースが特に多いため、これまで住んでいたマイホームを売却する、つまり供給も一気に増えるのです。販売される物件が増えれば選択肢も広がり、自分たちの希望にぴったりの物件が見つかる可能性も高くなるでしょう。
ただし、需要が高くなるということは、同じように考えているライバルも多いということ。じっくりと探したいのであればこの時期を外すのもアリかもしれません。ですがやはり中古物件購入の大きな魅力ともいえる「たくさんの物件の中から好きなものを選びたい」のであれば、年明けから2月下旬までがおすすめになります。
■売却のタイミングもこの時期に
マイホームの売却をするのであれば、まさにこの1~2月にあわせることがポイントです。
過去のデータを見ても4月~12月の期間より1~3月の成約件数が最も多くなり、売り物件としての注目度も上がり多くの人に見てもらえることができる時期ですから、このタイミングを見逃す手はありません。
なお、売却活動の平均期間はおよそ3ヵ月程度、不動産会社と媒介契約を交わすところから実際に売却スタートするまでが平均で1~2ヵ月かかることから、ピークの2月売却を目指すのであれば11月から遅くても12月までに動き出したほうが良いでしょう。
《購入は自分なりのベストタイミングで》
物件との出会いはある意味運もありますので一概にこうだと断言はできませんが、新築も中古も1月から2月、遅くても3月いっぱいまでの期間が“物件購入のベストタイミング”になります。売主側からしても3月中までに売却したいと考えている方が多くなるため、2月に入ったくらいから価格がダウンすることも多くなっているのです。
可能な限り安い価格で買うことを目指すのであれば、売り時を逃した4月以降の売れ残り物件を安く購入することに期待しても良いかもしれません。ただし、売り物件は賃貸物件よりも流通量が少ないため、売り切れてしまう可能性もないわけではないのです。ですので、価格に拘り過ぎず気に入った物件があったら、その時がベストタイミングになるといえるでしょう。
もちろん「マイホームは欲しい時が買い時」ともいわれていますから、結婚や出産といった人生設計から見た場合、まとまったお金が手に入ったなど収入から見た場合、住宅ローン金利の状態から見た場合など、マイホームを購入するタイミングはひとつではありません。
しかし、新年度から新しい環境での生活を始めたいと考えているのであれば、またマイホームの売却を考えているのであれば、ぜひこのタイミングを目指してみてはいかがでしょうか。