敷金礼金なし物件のメリット・デメリット
退去費用について
多くの賃貸アパート・マンションの入居には、敷金・礼金が必要です。なかにはどちらも支払う必要が無い物件もあり、一見すると引越しの費用が抑えられて便利ではありますが、そのような物件の入居を考える場合は注意が必要。敷金・礼金は、多少金額がかかっても賃貸物件に住む人にとっては後々必要なものになってくるからです。この記事では、敷金・礼金がない物件のメリットやデメリット、入居時の注意点について解説します。
▼目次
- 敷金・礼金なし物件とは
- 敷金
- 礼金
- なぜ敷金・礼金なしにするの?
- 敷金・礼金なし物件のメリット
- 初期費用が安くなる
- 敷金・礼金なし物件のデメリット
- 退去費用が高くなりやすい
- 理想に見合った物件が見つかりにくい
- 敷金・礼金なし物件はこんな人におすすめ
- 短期で住む人
- まとめ
敷金・礼金なし物件とは
敷金
敷金は、賃貸物件を借りるにあたって大家さんに預ける担保金のこと。物件の賃貸借契約において、金銭的なトラブルが発生する可能性に備えて大家さんに家賃の約1~3ヶ月分を預けておくというシステムです。
建物に損傷があったり家賃滞納があったりした場合、修繕費や補てん金として敷金が活用されます。入居期間中に特別そのようなトラブルがなければ、退去時に原状回復費用(ハウスクリーニング費用など)を差し引いた残金が借主に返金されます。
礼金
礼金は、大家さんへの謝礼金のこと。ですので、敷金と違って退去時に返金されることはありません。不動産の賃貸がまだ一般的ではなかった頃に、借り手から心付けとして大家さんにお礼を渡す慣習ができたのが、現在の礼金の起源。相場では、家賃の1~2ヶ月分とされています。
最近では礼金不要の物件も増えてきており、ある調査結果では礼金ありの物件は全体の54.5%という結果が。鹿児島や北海道など、地方によっては礼金が不要な物件が中心というエリアもあるようです。
なぜ敷金・礼金なしにするの?
物件の敷金・礼金をなしにすることで、入居希望者は初期費用(家具・家電の購入、引越し業者への依頼費用など)を浮かすことができます。引越しには多くのまとまったお金がかかるので、負担の少ない引越しが実現できる敷金・礼金なし物件はとても魅力的。 一方、物件を貸し付けるオーナーにとっては、敷金・礼金なしにすることで費用を抑えて客付け(空き部屋へ入居者が入ってくれること)をスムーズにすることができ、多くの入居者に長く住んでもらえるというメリットがあります。客付けのために家賃を減らしてしまうと家賃収入は下がってしまいます。敷金・礼金はあくまでも初期費用であるため、例えゼロ円にしても入居期間が長ければ回収が可能。家賃を下げずに客付けをスムーズにするため、敷金・礼金ゼロにするオーナーも多いのです。
敷金・礼金なし物件のメリット
初期費用が安くなる
一人暮らしで家賃8万円のアパート(敷金・礼金あり)に入居を希望する場合、初期費用の目安は合計約48~56万円といわれます。敷金・礼金は家賃1~2ヶ月分が相場なので、どちらも約8~16万円(合計すると約16~32万円)の計算となります。このように、敷金・礼金は初期費用の中で最も占める割合が高いのが特徴。特に学生や新社会人の引越しにおいては、この初期費用は大きな負担となってしまいます。
もしこのアパートの敷金・礼金がゼロであれば、約16~32万円を浮かすことができます。そうなれば、初期費用は高くても40万円前後に抑えることが可能。不動産会社に仲介手数料などの交渉をして、さらに初期費用を軽減できた事例もあります(物件によって初期費用に差が出る場合があります)。
敷金・礼金なし物件のデメリット
退去費用が高くなりやすい
入居時に敷金がゼロだと、退去時に原状回復費用や保証料がかかってしまいます。敷金は退去時のクリーニング費用や家賃滞納時の補てんに充てられるため、敷金が掛からなかった物件の原状回復費用は退去時の請求となるのが現実。退去時の部屋の汚損・破損が大きいほど、請求金額は大きくなってしまいます。
入居時に敷金がゼロだと、退去時に原状回復費用や保証料がかかってしまいます。敷金は退去時のクリーニング費用や家賃滞納時の補てんに充てられるため、敷金が掛からなかった物件の原状回復費用は退去時の請求となるのが現実。退去時の部屋の汚損・破損が大きいほど、請求金額は大きくなってしまいます。
理想に見合った物件が見つかりにくい
特に敷金・礼金が共にゼロという物件は、実際そこまで数は多くありません。その条件で探す物件を限定してしまうと、大手の物件情報サイトでも空室が全体の約10%前後に留まるともいわれています。
初期費用を抑えられるというメリットはありますが、敷金・礼金なし、かつ希望に合った物件を探すのは至難の業です。また、たとえ敷金・礼金ゼロ物件が見つかったとしても、家賃が相場より高かったり短期違約金が発生したりすることもあるので、そうしたデメリットを踏まえた上で入居を検討するようにしましょう。
敷金・礼金なし物件はこんな人におすすめ
短期で住む人
短期間(2~3ヶ月程度)で住む場合は、初期費用が抑えられる敷金・礼金ゼロ物件がおすすめです。敷金・礼金が無い分、家賃が多少高くかったとしても、短期間なら負担は大きくありません。また、長期間住むとリスクは大きくなりますが、短期間なら部屋をきれいに使用していれば退去時に請求される原状回復費用は最小限で済みます。
ただし、契約内容によっては2年未満で退去する際には短期違約金を請求されるケースも。契約前に条件をしっかり確認するようにしましょう。
まとめ
一見すると、敷金も礼金もかからない物件は入居時の初期費用の削減につながり、入居者にとってはとても魅力的に見えます。ですが、一般的な家賃相場よりも賃料が高額だったり、契約内容によっては退去時に支払うコストが増大するリスクがあったりするため、慎重に検討する必要があります。
気に入った賃貸物件の敷金・礼金がゼロだった場合は、事前に不動産会社に相談・見学をしたり、契約の条件をよく確認してから入居を考えるようにしましょう。